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デンマークデザインは地球を救うか

CPHにある北欧最大のデザイン/ブランディング会社「コントラプンクト」の代表、ボー・リンネマン氏による講演会「デンマークデザインは地球を救うか」に行ってきました。
こんとらぷんくと・・・?でざいんぶらんでぃんぐ・・・?地球を救う・・・?
聞きなれない言葉に壮大なテーマ・・・、どんな人のどんな講演か、全くわからないまま席につきました。

コントラプンクトの代表的な作品は、デスクワーカーなら毎日何度も目にするであろうマイクロソフトの現在のロゴ、デンマークを代表する企業、レゴやカールスバーグ、ダンスク銀行の現在のロゴ誰もが目にしたことがあるものです。
レゴやカールスバーグなど、皆が見慣れ、よく知られたロゴのリニューアルデザインは、チャレンジでもあったとリンネマンさんは語っていました。
ダンスク銀行のケースでは、北欧の古い建物にも新しい建物にも、どんな街角でも馴染むロゴ、看板にするのに気を遣ったとも話していました。
しかしコントラプンクトの仕事はロゴタイプのデザインだけにとどまりません。

彼らの代表作品にデンマーク第2の空港、「ビルン空港」がありますが、コントラプンクトは空港内の看板や印刷物に統一して使われるロゴはもちろん、案内表示、スタッフのユニフォーム、そしてインテリアに至るまでほとんど全てのデザインを担当しています。
空港といえば、どの国のどの都市でも似たような雰囲気、画一的な印象ですが、彼らはビルン空港をコスモポリタンな雰囲気を持ちつつもその土地ならではの特色、おもしろみのある空港にしたかったそうです。
チェックインカウンターには地域産の木材を使うなど、原材料にもこだわりがあります。
そしてかわいらしい蜂のモチーフがそこここに。
これは「小さな森と蜂が住むところ」という意味をもったビルンの街になぞらえた、ちょっとした遊び心だそう。
彼らの仕事は、単に物のデザインや造形をするのではなく、ひとつの大きなコンセプトにそって、それに関わる全てをデザインし、その全体によってブランドイメージを作り上げていく、というトータルなものなのです。

さてテーマの「デザインは地球を救うか」という問い。
リンネマンさんは「それには明確な答えを持ちませんが、我々デンマーク人は『個人の尊重』を大事にしています。ひとりひとりが幸せになれるようなプロダクト、イメージをデザインしていけば、大きな意味で地球を救えるかもしれません。」ということをおっしゃっていました。
「個人の尊重」という考え方は、コントラプンクトのデザインに共通するもののように感じました。

デンマークのインシュリンメーカーノヴォ・ノルディスクはコントラプンクトと共に、「Changing the way you see diabetes(糖尿病を変える)」というデザインプログラムを発表しています。
患者さんがいつも「自分は糖尿病だから」と考えずにすむように、という考え方から生まれたプロジェクトです。
1985年、コントラプンクトは日常生活に違和感のないペンタイプのインシュリン注射器「novo pen」をデザインしました。
現在、子供用のカラフルでポップなnovo penもあります。
リンネマンさんは「小さな子供にとって、注射器を持っているのを他の子供たちにからかわれたりするのはつらいことです。」とおっしゃっていました。
持っていてわくわくする雑貨のようなnovo penで、患者さんたちが悲しい気持ちをすることが少しでも減ればいいですね。

コントラプンクト社のホームページ内「OUR WORK」からビルン空港、ノヴォ・ノルディスクなどのブランドイメージをご覧いただけます。

北欧デザインが大人気の昨今、「北欧デザイン」とうたえば中身のないツアーでもお客様は来るかもしれません。
そんな中でフィンツアーは、お買い物ツアーに終わるのではなく、デザインの根底にある考え方にも触れられるようなツアーを作っていきたいな、と考えた一日でした。

※講演内容についてはメモしたものを正確にまとめたつもりですが、私の主観や印象も含まれていることをご理解ください。

⇒『北欧3ヶ国デザインを感じる旅』2009年11月22日(催行間近!)の日程表はこちら。

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