ヘルシンキ・ミュージックセンター
トーロ湾に面したヘルシンキ・ミュージックセンターが2011年8月31日に正式にオープンしました。
トゥルクにあるLPR設計事務所の3人の建築家、マルコ・キヴィスト、オラ・ライホ、ミッコ・プルッキネン
によって設計されました。外壁には人工緑青銅板とガラスを多用し、国会議事堂、国立博物館、
フィンランディアホール、キアズマなどの周囲の建物ともうまくマッチしています。
延べ面積は36 000 平方メートルで、室容積は250 000立方メートル。
大ホールの音響設計を手がけたのが、日本が世界に誇る音響設計家、永田音響設計の豊田泰久氏。
サントリーホールと類似のヴィンヤード型ホール形状客席配置。フィンランディアホールではついに
達成できなかった豊かな反響とどの客席にいてもソロ楽器の音色が明瞭に響いて、バランスは
申し分ないといえます。大ホールは内壁の色調からフィンランドの伝統的なスモークサウナを、
さらに客席は川に浮かぶ原木丸太を連想させます。バルコニー席を除く客席のほとんどとステージは
実際には岩盤を掘りぬいた地下に設けられています。
正面入り口を入ってまずエントランスホールで目を引くのが、キルシ・カウラネン作のギリシア神話に
登場する地母神としての女神ガイアを表現したオブジェ。壁面にその影が映し出されるのも
面白い工夫です。コンサート当日でなくても、市民が自由にこの施設を利用できるように、
館内にはレストランやカフェ、そしてオープンテラス等が設けられています。
ヘルシンキ・ミュージックセンターは、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団とフィンランド放送
交響楽団の拠点となります。年間プログラムによれば、それぞれ40回から50回演奏会をすることに
なっています。このセンターには大ホールの他、国立音楽大学シベリウス・アカデミーも同居していて、
用途の異なる5つの小ホールや控え室と附属図書館、さらに地下には小規模な絵画、彫刻の展示室
などを併設する複合文化施設です。
今年6月12日はヘルシンキデーで、しかも今年はヘルシンキ市遷都200周年記念の年。
その一環としてヘルシンキ・ミュージックセンターの大ホールで昼間2回無料コンサートが開催され、
9人編成のヘルシンキ・フィルハーモニー弦楽合奏団が往年の名曲、映画主題歌、ヘルシンキに
因む曲などを1時間にわたって演奏しました。マチネ公演であったため、時間の自由が利く定年を
迎えた層や夏休みに入っていたため子供連れの家族が客席の大半を占めていました。
ヘルシンキ・ミュージックセンターの英文・和文関連サイト:
http://www.musiikkitalo.fi/web/en/
投稿日時:2012 年 6 月 25 日12:00 PM
カテゴリー:フィンランド,現地レポート
投稿者: 宮澤豊宏:12件の投稿
(宮澤豊宏)