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フィンランドの森便り7月 その1

7月は一年で最も平均気温の高い月、真っ青に澄み切った空に太陽が燦燦と輝きます。日中の最高気温が30℃を超えることも中南部では時々あります。それでも朝晩や夜間は普通20℃以下に下がるので非常に快適な陽気です。午後から夕方にかけては入道雲や雷雲が突如発生し、局地的な雨に見舞われることもあります。

7月初旬からはヤナギランが道路脇の土手、空地、山火事・伐採跡地に大きな群落を作り、一面に美しい紅紫色、時には白色の花を咲かせます。夏至も過ぎて夏もたけなわとなると、お花畑は森林から日当たりの良い草原や湖沼などに中心舞台を移します。ヤグルマギクの仲間、アザミの仲間、ワスレナグサ、ヒメオドリコソウ、マーガレット、カモミール、ヒルガオ科の仲間、ナデシコ科の各種植物、キバナノレンリソウなどが空地や野原にごく普通に見られます。

赤紫色の花で野原一面に咲き乱れるヤナギランの群落

赤紫色の花で野原一面に咲き乱れるヤナギランの群落

キキョウ科ホタルブクロ属のカンパニュラの仲間は、フィンランド国内では約10種類が知られ、花色は青紫色、紫色、空色が普通ですが、中には白色のものもあります。また同じ頃、湖沼、水湿地、水辺にはスイレンやコウホネの仲間の花が水面をいろどり、浅瀬や小川にはミクリ、サジオモダカ、キショウブ、ガマなどが、川端にはエゾミソハギ、クサレダマなどが生えています。

清楚な雰囲気を漂わせる白花のスイレン

清楚な雰囲気を漂わせる白花のスイレン

比較的明るい樹林の下には茎を長く地をはわせるリンネソウが咲いています。スウェーデンの植物学者、リンネに因んで命名されたリンネソウは、茎の先にほのかな香りのする帯桃白色の可愛らしい花を下向きに1対つけます。さらにママコナの仲間は半寄生植物で、クリーム、もしくは紅紫色の花を咲かせます。また、山伏の持つ錫杖に似ていることから名付けられた腐生植物のシャクジョウソウは、木漏れ日のあたる針葉樹の林内に生えています。

フィンランドの最高のもてなし、湖畔のサウナ

フィンランドの最高のもてなし、湖畔のサウナ

フィンランドでは、6月下旬の夏至祭の頃から8月上旬までの時期が夏のバカンスのシーズンです。人々は毎年この時期に4週間程度まとめて夏期休暇を取ります。中にはテレビに齧り付いている人もいますが、家族でサウナ付きの夏の別荘に滞在するのが典型的なフィンランド・スタイルの夏の過ごし方です。自分で所有していなければ、貸し別荘や親戚・友達の別荘を利用することもあります。昔と違って、最近では別荘でも人々が快適な生活を求めるため、全国に48万戸近くあるといわれる別荘の設備は年ごとに充実してきています。

花と森歩きの達人 宮澤豊宏さんと歩くフィンランド花と森のハイキング