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フィンランドでは7月1日以降、付加価値税率を全面改正

フィンランドでは次のように7月1日から付加価値税率が全面的に改正されました。

一般標準=22%→23%へ引き上げ
レストランでの飲食(ただし、アルコール飲料を除く)やケータリングサービス=22%→13%へ引き下げ
食料品と飼料=12%→13%へ引き上げ
交通機関などの公共料金や書籍、文化・娯楽施設の入場料、医薬品、国営放送受信料、理髪・美容(ただし、今年の年末まで有効)=8%→9%へ引き上げ

詳しくはフィンランド国税庁関連サイトをご覧ください。

EU圏外国の移住者が免税処置を取り扱う同一の店舗で、40?以上の買い物をした場合、パスポートを提示することにより、フィンランドの付加価値税が免除されます。ただし、払い戻し額は、付加価値税分がそっくりそのまま戻るのではなくて、付加価値税額から事務手数料等を差し引いた金額です。

この改正により、今後レストランでのアルコール飲料を除く飲食費はこれまでよりも少し安くなることが期待されます。早速、付加価値税率の引き下げが料金に反映されているレストランと反映されていないレストランをリストアップしたサイトまでお目見えしました。

美味しそうなトナカイやホッキョクイワナの料理

美味しそうなトナカイやホッキョクイワナの料理

フィンランドでは2代目の女性首相誕生

フィンランドでは6月22日に国会の指名と大統領の任命を経て歴代2代目の女性首相が誕生しました。これに先立って、6月13日にラハティで開催された中央党の全国党大会で女性の党首が選ばれました。当時行政・自治大臣、ヘルシンキ市議会議員のマリ・キヴィニエミ(41才)が競争相手の男性候補3名を制して、マッティ・ヴァンハネン党首の後継者に選出されました。マリ・キヴィニエミ内閣、現内閣では国会の承認を得て、中央党の党首が自動的に首相になりますので、少なくとも来年4月に予定されている総選挙までは首相のポストに就くことができます。以前同じ政党のアンネリ・ヤーッテーンマキ(現欧州議会議員)が68日間と短命ながらも初代女性首相を務めました。

フィンランドの国会議事堂、建築家J.S.シレンの作品で1931年に完成

マリ・キヴィニエミ党首はセイナヨキ出身、ヘルシンキ大学政経学部卒、現在、ヘルシンキ市に籍を置いていて、シベリウス公園のすぐ近くにご主人(再婚)と二人のお子さん(生来嫡出子)と暮らしています。

日本の鳩山内閣と同じように、政治献金などの問題で前内閣と中央党に対する国民の支持率は低迷していました。こうした事態を打開するために今回の全国党大会で中央党も党内の主要ポストの刷新を図ったものといえます。

フィンランドでは、現大統領が女性のタルヤ・ハロネン、国会議員の定数200名中、女性の国会議員は80名(40%)を、現内閣の閣僚(首相も含めて)20名中、女性の閣僚は11名を占めています。1906年にフィンランドでは普通選挙(その当時は男女とも24歳以上)が施行され、フィンランド人女性は欧州で初めて普通選挙権を、さらに世界で初めて被選挙権を取得し、翌年の1907年には19名の女性の国会議員が誕生しました。

このままでは、フィンランド人男性はマルテイ・ツルネン(本名マルッティ・トゥルネン)参議院議員のように日本へ行って帰化して後、日本の国会に立候補しなくては国会議員になれなくなる日がくるかもしれません。

フィンランドの森便り6月

6月は日照時間が最も長い月、フィンランドは高緯度に位置するため、真夜中の太陽、白夜や薄暮・薄明を国内各地で体験することができます。日中の最高気温が25℃以上30℃近くまで上昇する夏日も中南部では時たまあります。午後から夕方にかけては入道雲や雷雲が突如発生して局地的な雨が降ることはありますが、全般的に6月の天気は比較的安定しています。

清々しい森の空気を吸い、森林浴を楽しみながらのジョギング、エスポー市

清々しい森林浴を楽しみながらのジョギング、エスポー市

6月はスポーツに興じるのにも絶好の時期です。都市部でも森の中に適宜配置されているジョギングコースは非常に良く整備されていて、所によっては足首に優しいチップ、バーク、大鋸屑などがコースに敷かれています。身体を動かすとともに清浄な空気を胸一杯吸い込んで森林浴やノルディックウオーキングを楽しむことができます。

5月下旬から6月上旬にかけては、山野や都市部の公園では周囲にほのかな芳香を放つエゾノウワミズザクラが細長い穂状の白色花をたくさんつけます。どこでもひときわ目立つセイヨウタンポポは、6月上中旬に路傍、土手、公園の芝地一面にしばしば大きな群落を作ります。

甘い芳香を周囲に放つドイツスズラン

甘い芳香を周囲に放つドイツスズラン

6月上旬からは、林内や林縁の陽地にドイツスズランが清楚な花を咲かせます。甘い芳香を辺りに放つドイツスズランは、国民の人気投票でフィンランドの国花に選ばれました。このほか、ツマトリソウやヒメマイヅルソウも林内に普通に見られます。帰化植物のハルザキヤマガラシ(セイヨウヤマガラシ)は、戦後南部の土手や空地、公園の芝地を中心に生育圏を着実に拡大しています。また、6月中旬から7月中旬にかけては、北米原産の帰化植物、ルピナス(別名ノボリフジ)が中南部の道路脇の土手や空地に紫色、ピンク色、白色の見事な花を咲かせます。

道路脇の土手や空地に目立つルピナスの花、エスポー市

道路脇の土手や空地に目立つルピナスの花、エスポー市

また同じ頃、湿原ではミズバショウに似た白い仏炎苞(ぶつえんほう)を開くヒメカイウ、そして白い果穂が風にそよぐワタスゲの群落が見られます。5月下旬頃から6月上中旬にかけては、野生のベリー類も一斉に開花します。ベリー類の収穫量は年毎に変動が激しく、ブルーベリー(ビルベリー)、クラウドベリー(ホロムイイチゴ)、コケモモ(リンゴンベリー)などの開花状況と気象条件を基に、その年のベリー類の収穫予想が7月上旬頃に国立森林研究所から出されます。

ヘルシンキ市内の夏至祭メイン会場、セウラサーリの祝火

ヘルシンキ市内の夏至祭メイン会場、セウラサーリの祝火

フィンランドでは、他の北欧諸国同様、夏至祭が毎年恒例の国民的行事です。今年は6月26日の土曜日が夏至祭当日で、実際にはその前夜からお祭り気分が盛り上がります。日本のお盆のように、この時期に人々は郷里に帰省したり、夏の別荘に家族揃って出掛けたりします。前夜祭は深夜近くにクライマックスを迎え、フィンランド語でコッコと呼ばれる薪や枝條を積み上げた大きな祝火が焚かれます。その周りで人々は踊り、歌い、語り合い、飲み明かし、一年間で最も日照時間が長い日を謳歌するのです。首都圏のメイン会場はセウラサーリで、民族衣装で着飾った子供たちもあちこちで見受けられます。

夏至祭当日、民族衣装で着飾った子供たち、セウラサーリ

夏至祭当日、民族衣装で着飾った子供たち、セウラサーリ

参考サイト:
花と森歩きの達人 宮澤豊宏さんと歩くフィンランド花と森のハイキング