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ボルエ(BÖRJE)

エスポー市立図書館レッパヴァーラ・セッロでは、今年6月からセラピードッグ、マルチーズの
雄犬ボルエ(Börje)が活躍中です。ボルエは2010年10月16日に米国ロサンゼルスの
ビバリーヒルズで生まれ、年齢は現在10ヶ月。今年3月に米国からフィンランドにやってきました。
飼い主はこの図書館の女性スタッフです。

図書館入り口

ボルエと飼い主

構音障害とか吃音症といった言語読書障害のある子供たちがおっくうがることなく、中立の立場の
セラピードッグに読み聞かせたり、話しかけたりすることにより、言語読書能力の向上を図ります。
最近ではボルエは市民の人気者で、国営テレビのローカルニュースや地元の新聞等でも
取り上げられています。

絵本・児童書コーナー

ムーミンの童話にうっとりしているボルエ

ボルエは北欧ではこの目的で初めて使われているセラピードッグで、英語、フィンランド語、スウェーデン語
の3ヶ国語の命令を理解します。ボルエのセラピードッグとしての基礎訓練は幼犬時代から米国で
始められていますが、現在も引き続き訓練は続きます。

編み物をする入館者、背後は市役所支所

犬アレルギーの原因は、犬の毛や唾液、尿、犬の皮膚・皮脂、汚れなどが原因とされています。
マルチーズはシングルコートで、抜け毛やふけの少ない犬種とされています。犬アレルギー症状を
引き起こすことが非常に少ないため、こうした公共施設でセラピードッグとして活躍することができます。
ボルエは毎週1回飼い主の自宅で良質のシャンプーで洗浄していますし、ボルエが入館者と直接接する
場所は入り口ロビー付近に限定されていて、前もってボルエ到着のアナウンスが館内に流されます。
一般の飼い犬は館内入場禁止ですが、盲導犬をはじめ身体障害者補助犬はもちろん問題なく館内に
入場できます。

子供達に人気のあるボルエ

当方が訪れた日にもボルエは温厚で人見知りせず、一回もほえることもなく、ボランティア・セラピードッグと
しての自分の役割に非常に満足している様子でした。この秋からはヘルシンキ市立エテラ・ハーガ地区に
ある公共図書館でもセラピードッグを使った同様な試みが始まるそうです。

セラピードッグ、ボルエの今年の予約可能日時
館内活動時間帯:午後1:00-3:00
ただし、10分間のセラピードッグとして予約できるのは、午後1:30-3:00の時間帯
予約場所:館内児童書コーナーのサービスポイント(Lastenmaan palvelutiski)
水曜日: 3.8. 10.8. 17.8.
日曜日: 28.8. 11.9. 2.10. 9.10. 23.10. 30.10. 27.11.
一歳の誕生日: 16.10.

館内にあるボルエのポスター

エスポー市立図書館レッパヴァーラ・セッロの特徴
1. トゥルク市立中央図書館に次ぎフィンランド国内で2番目に入館利用者数が多く毎日の来館者3500人以上
2. 独立した別個の公共の建物ではなく、複合商業施設の中にテナントとして入居、2003年8月に開館
3. 図書館としての本来の機能のほかに、エスポー市の市役所支所の役割
4. 昨年から今年にかけて思い切った配置換え等、模様替え完成
5. グランドピアノ、音楽スタジオ等も完備
6.地元芸術家の作品の展示即売等
7.入り口ロビーでは様々な手工を凝らしたイベントを開催

図書館入り口ロビー


フィンランド国鉄VR&ロシア鉄道会社OAO RZD アレグロ(ALLEGRO)紹介

アレグロ(ALLEGRO)は2010年12月12日からフィンランドのヘルシンキとロシアのサンクトペテルブルク間の国際列車として運行を開始しました。フィンランド国鉄(VR)社とロシア鉄道会社(OAO RZD)が折半で出資した合弁事業会社カレリアントレインズ社によって運行されています。アレグロの運行開始に伴い、従来この区間を運行していたフィンランド国鉄のシベリウス号とロシア鉄道会社のレーピン号は運行を中止しました。一方、フィンランドのヘルシンキとロシアのモスクワ間の国際列車トルストイ号は従来どおり運行を継続しています。

ヘルシンキ駅に停車中のAllegro

ヘルシンキ駅に停車中のAllegro

現在、毎日4往復していて、ヘルシンキ発が6:00、10:00、15:00、19:00で、ヘルシンキとサンクトペテルブルク間417kmの所要時間が3時間36分、停車駅はフィンランド側がヘルシンキ、パシラ、ティックリラ、ラハティ、コウヴォラ、ヴァイニッカラ、ロシア側がヴィープリ、サンクトペテルブルクのヘルシンキ駅。

Allegro の食堂車

Allegro の食堂車

最高運転速度220km/hのアレグロの振り子式車両はアルストム・トランスポート社製。フィンランド国内用の高速鉄道車両ペンドリーノの改良型で、冬季対策が強化され、複電圧仕様の設備を持つ交流直流両用電車。高速鉄道用の新線を建設したのではなく、在来線の曲線部の補正や線路の補強等により高速鉄道の運行が可能になりました。

Allegro のエコノミークラス車内

Allegro のエコノミークラス車内

フィンランド・ロシア間の往来では査証が必要ですが、スピードアップを図るためにパスポートや税関の手続は列車内で行われます。さらにフィンランドとロシアでは鉄道用電化区間の電圧、電流とも異なっていますが、アレグロは複電圧交流直流両用仕様の設備を持つため、従来とは異なって国境で電気機関車の付け替え作業をする必要がありません。

Allegro の先頭車両

Allegro の先頭車両

アレグロは定員38人の食堂車を含めて7両編成で、座席は全部で342席+2席(身体障害者用)、うちビジネスクラスが48席、エコノミークラスが296席。編成中には通常の座席のほか、ベビーカースペース、子供用プレイスペース、ペット同伴者用スペース、バリアフリー設備が設けられています。

Allegro の先頭部
Allegro の先頭部

最新型の国際列車でヘルシンキとサンクトペテルブルクを訪れてみませんか?

フィンランドの森便り8月

8月上旬には場所により多少残暑も残りますが、中旬も過ぎると全国的ににわかに秋めいてきます。朝晩の気温もぐっと下がってきて、時には肌寒いくらいです。低地では朝晩にあたり一面にうっすらと霧が立ち込めたりすることもあります。北部ラップランドの山岳地帯では木々や下草がほんのりと色づき始め、間近に迫った紅葉の季節の到来を告げます。

鐘形の小花が満開のカルーナの群落

乾燥した松林や貧栄養性の湿原で大きな群落を形成しているのはツツジ科のカルーナです。よくエリカと混同されますが、実際エリカはフィンランドにほとんど自生していませんし、カルーナの葉は鱗片状で、エリカとは異なっています。帯紫紅色や淡紅色の花が普通ですが、まれに白色花もあります。この時期に蜜蜂がせわしく蜜を集めるのがこのカルーナの花です。カルーナは別名ハイデソウとか、ギョリュウモドキとか呼ばれることがあります。

白花または淡紅花をつけるセイヨウノコギリソウ

この時期の野山の代表的な花は、とりわけ花期が長く、ほぼ全国的に分布しているノコギリソウの仲間とホソバウンランです。ノコギリソウはセイヨウノコギリソウとエゾノコギリソウの2種類が国内で普通に見られます。林縁、空地、野原には、アキノキリンソウ、ヤナギタンポポ、タンジーといったキク科植物の黄花、オトギリソウ科ヒペリウム・マクラツムの黄花、マツムシソウ科クナウティア・アルベンシスの薄紫色の花が目立ってきます。また、湿地にはシソ科のスタキス・パルストリスやハッカの花が時たま咲いています。赤く熟したドイツスズランの果実

秋に向けて森や野原では様々な植物の果実も熟してきます。特にドイツスズラン、そして落葉性の小潅木、ジンチョウゲ科ダフネ・メゼレウムの鮮紅色の果実、ヒメマイヅルソウの小さな赤い液果、ナス科ソラヌム・ドゥルカマラの透き通るような赤い実に興味をそそられます。どれも見かけに反して有毒で食用になりません。

青空市場に出回る在来種のザリガニ

青空市場に出回るアメリカザリガニ

フィンランドでは、他の北欧諸国同様、この季節にザリガニを賞味します。7月21日正午になると全国一斉にザリガニ漁が解禁になりますが、旬はやはり8月以降です。国内の湖沼・河川には在来種のザリガニと放流された外来種のアメリカザリガニの2種類が生息しています。青空市場では、出始めの頃の値段は一匹につき5ユーロ前後もします。レストランではザリガニ料理は高価なものなので、予約が必要です。前菜として食べることが多く、氷室で冷やしたウオッカとカリカリに焼き上げたトーストパンと一緒にいただきます。

野生のヤマドリタケ

晩夏を迎えると、森のキノコもたくさん発生してきます。イタリア料理などでよく使われ、大変美味な食用キノコとして知られているヤマドリタケは、別名イタリア語でポルチーニ、フランス語でセップとも呼ばれることがあります。このきのこは樹木の根に菌根を作って共生する菌根菌であるため、マツタケ同様、人工栽培は困難であり、そのため野生の採集したものだけが流通しています。最近では、フィンランド東南部からイタリア向けに高品質なポルチーニが輸出されています。

参考サイト:花と森歩きの達人 宮澤豊宏さんと歩くフィンランド花と森のハイキング